勤務の終わりが近づいても、残っている仕事が自分のところに集まってくる。誰かに伝えたいけれど、「不満を言っているだけ」と受け取られそうで、言葉がまとまらない。そんなときは、出来事と気持ち、お願いしたい調整を分けてみましょう。
この記事では、いつ・どんな業務が重なり・何に困り・どう調整したいかを整理するメモを提案します。同僚の人格を評価するためではなく、業務の分担について相談する準備に使います。
僕にも、伝えても変わらなかった経験がある
僕自身、看護師のペア業務で残務の負担が偏り、不公平だと感じた経験があります。本人や上司に伝えても、改善しなかったことがありました。
だから、「上手に伝えれば解決する」とは言えません。ここで紹介するメモも、僕が使って職場を変えた成功手順ではありません。経験を振り返り、次に相談するなら何を整理したいかを考えた提案です。
以下では、相談前に整理したいことを5項目に分けます。
1.まず、困った出来事を一つに絞る
「いつも自分ばかり」と感じていても、相談の出発点は具体的な一場面にします。いつの勤務で、予定していた分担と実際に起きたことがどう違ったかを書きます。
- 予定していた自分の業務は何だったか
- 追加で引き受けた業務は何だったか
- 追加を頼まれたのか、自分で必要と判断したのか
- 誰に、どこまで確認できていたか
相手にも急な対応など、自分から見えない事情があるかもしれません。分からないことは推測で埋めず、「相手の状況は未確認」と残します。件数だけで業務の重さを決めず、時間や対応の難しさも分かる範囲で整理します。
2.出来事・気持ち・業務への影響を分ける
気持ちを消す必要はありません。ただ、見聞きしたことと、自分の受け止め方を分けると、相手に確認したい点が見えやすくなります。
| 区分 | 記入例(説明用の架空の場面) |
|---|---|
| 見聞きしたこと | 自分の担当業務に加えて、勤務終了前に追加の作業を引き受けた |
| まだ分からないこと | 当日の分担を変更する判断や、相手の担当状況 |
| 自分の気持ち | 断りづらく、不公平だと感じた |
| 業務への影響 | 自分の記録に取りかかる時刻が遅くなった |
| 確認したいこと | 残務が重なったとき、誰が分担を調整するのか |
「やる気がない人だ」と評価するより、「追加の作業が重なり、自分の記録が後ろにずれた」と書くほうが、業務の進め方を相談する材料になります。実際に確認していない残業時間や発生回数を、正確な数字として書かないようにします。
3.お願いしたい調整を、一つ選ぶ
出来事を整理したら、「公平にしてほしい」を、相談できる作業へ言い換えてみます。
- 勤務の途中で、残っている業務を確認する機会を作れないか
- 追加業務を頼むときに、今の担当状況も確認してもらえないか
- 分担を変更するときの相談相手を決められないか
- 業務が終わらない見込みを、どの時点で誰に伝えるか確認できないか
これは調整案の例です。勤務体制や職場のルールによってできることは違うので、実施できると決めつけず、相談したい案として持ち寄ります。
4.相談の言葉を「出来事・影響・お願い」で準備する
短い面談でも伝えられるよう、最初に相談の目的を一文にします。そのあとに、具体的な場面と困っている点、確認したい調整を続けます。
業務の分担について相談したいです。勤務終了前に追加の作業を引き受け、自分の記録に取りかかるのが遅くなったことがありました。相手の担当状況や分担変更の判断は確認できていません。残務が重なったとき、誰に調整を相談すればよいか、確認させてもらえますか。
上の文章は架空の相談例です。本人が実際に話した言葉や、効果を確かめた言い方ではありません。自分の出来事に置き換え、分からない点は分からないまま伝えます。
一人で相手に直接伝えることが難しければ、職場で定められた相談先や、信頼できる管理者への相談も候補になります。安全上の懸念がある場面では、メモの完成を待たず、その場の報告・連絡の手順を優先します。
5.相談した後も、決まったことと未解決のことを分ける
相談できたことと、問題が改善したことは別です。相談後は、合意したこと、まだ決まらないこと、次に確認する相手や時期を残します。
| 相談後に残す項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 相談したこと | どの業務や分担について相談したか |
| 確認できたこと | 分担の考え方、調整の窓口、相談するタイミングなど |
| 決まったこと | 実施する調整と、その担当・開始時期(合意できた範囲) |
| 未解決のこと | 合意できなかった点、まだ確認できない事情 |
| 次の確認 | いつ、誰と、何を振り返るか |
変化がなければ、その経過も次の相談材料になります。伝え方だけを何度も直し、自分一人の責任にする必要はありません。
写して使える、相談前の5項目メモ
出来事:いつ/どんな業務/予定と違ったこと
自分の受け止めと未確認事項:何を感じたか/まだ分からない事情
業務への影響:何が後ろにずれたか/どこで支援が必要だったか
相談したい調整:まず一つ、確認・変更してほしいこと
次の確認:相談先/相談後に決まったこと/未解決のこと
個人用の整理メモには、患者さんの氏名・病名・病室・処置内容などを持ち出さず、職場の資料や画面を私物端末へコピーしないようにします。相談に業務上の詳細が必要な場合は、職場の規程に沿った記録・相談の方法を確認してください。
職場の外へ相談する場合の確認先
労働時間や超過勤務、夜勤などの相談では、日本看護協会の「ナースのはたらく時間・相談窓口」が情報提供や専門窓口の紹介を行っています。同協会が個別の事案を調査・判断する窓口ではない点も、公式案内で確認してください。
職場のいじめ・嫌がらせなどを含む労働問題については、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」も確認先です。相談は無料で、専門の相談員が面談または電話で対応すると案内されています。対応範囲や利用方法は公式ページで確認できます。
このメモだけで、業務分担の適否やハラスメントへの該当を判断することはできません。まずは、困った一場面と、確認したい調整を一つ。次の相談へ持っていける形にするところから始めてみてください。
相談窓口の公式情報確認日:2026年11月4日。
働き方全体も整理したい方へ
分担の相談と合わせて、勤務や生活で守りたい条件も見直すなら、看護師の働き方を見直す5つの整理項目も使えます。

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