一条工務店で夢のマイホームを検討している方にとって、「グランスマート」と「グランセゾン」のどちらを選ぶべきかという悩みは尽きません。この記事では、両モデルの性能、デザイン、そしてコストの違いを徹底的に比較し、あなたの家づくりの「決め手」を明確にします。
記事の結論:グランスマートとグランセゾンの違い

まず結論として、グランスマートはグランセゾンよりも性能が格段に優れた上位モデルであり、家の見た目やデザインはほぼ同等です。
予算に問題がなければ、断熱性や快適性が業界トップクラスであるグランスマートをおすすめしますが、予算や間取りの自由度を優先するならグランセゾンも検討の余地があります。
| 評価項目 | グランスマート | グランセゾン |
|---|---|---|
| コンセプト | 性能 + デザイン | デザイン + 自由度 |
| 断熱性能(Q値) | 0.51 W/㎡・K (超高性能) | 0.98 W/㎡・K (高性能) |
| 工法/構造 | 外内ダブル断熱構法 / ツインモノコック構造 | i-HEAD構法 / モノコック構造 |
| 標準天井高(1F) | 2400mm | 2650mm (開放感で優位) |
| 全館加湿(うるケア) | 標準仕様 | オプション (+10万円) |
| 全館除湿(さらぽか空調) | オプション採用可 (坪単価1.5万円) | 採用不可 |
| グレイスタイル | オプション採用可 | 採用不可 |
| 坪単価(目安) | 約85万円 | 約80万円 |
違い1:住宅性能の圧倒的な差

グランスマートとグランセゾンの最大の違いは断熱性能です。この性能差こそが、グランスマートが「上位モデル」と呼ばれる最大の根拠です。
(1) Q値(断熱性能)はグランスマートが約2倍優位

熱損失の少なさを示すQ値(熱損失係数)を比較すると、グランスマートの優位性が明確です。
- グランスマート:0.51 W/㎡・K
- グランセゾン:0.98 W/㎡・K
数字が小さいほど断熱性能が高いことを示しており、グランスマートはグランセゾンに比べて熱損失を約半分に抑えることができます。これにより、グランスマートは「夏涼しく、冬温かい」うえに、室内の空気が外に逃げにくいため、月々の光熱費も安くなります。
筆者の実体験(北陸・一条工務店オーナー)
我が家(35坪・太陽光11.75kW・蓄電池7.04kWh)では、
冬場にエアコンを常時稼働させても、室温は家中ほぼ一定で、
11月の電気代は 7,333円、売電を差し引くと実質約2,200円 でした。
Q値0.5台の断熱性能が「数値以上の差」として体感できています。
(2) 構造・工法の違い
性能の差は、採用されている工法と構造に起因します。
- グランスマートは、外内ダブル断熱構法と、高い耐震性と気密性を実現するツインモノコック構造を採用しています。断熱材には、グランセゾンで使われるEPSよりも優位性のある高性能ウレタンウォームが採用されています。
- グランセゾンは、間取りの自由度が高い在来軸組工法(i-HEAD構法)とモノコック構造を採用しています。
(3) 夏季の快適性を左右する「除湿システム」の可否

特に高温多湿な日本の夏において重要なのが、全館除湿システムである「全館さらぽか空調」の採用可否です。
- グランスマート:坪単価1.5万円ほどのオプションで設置できます。デシカント換気システムにより強力な除湿と床冷房を可能にし、年間を通じて湿度と温度の快適性を追求できます。
- グランセゾン:性能が劣るため、全館さらぽか空調は採用できません。
この全館さらぽか空調は、グランスマートが夏季の湿度コントロールに対応できる最上位のソリューションであり、グランセゾンを選ぶと選択肢にすら上がらないため、プラン選びの大きな分かれ目となります。
筆者の実体験(さらぽか未採用)
我が家では検討の結果、全館さらぽか空調は採用しませんでした。
理由は、高断熱・高気密な躯体+通常の全館床暖房・換気システムでも、
夏の湿度・室温に大きな不満がなかったためです。
実際に梅雨〜夏を過ごしてみて、高性能なエアコン1台で十分でした。
違い2:標準仕様とデザインの比較
両モデルは外観・内装のデザインコンセプトを共有していますが、標準仕様のグレードには違いがあります。
(1) 天井高:グランセゾンの優位点
デザイン上の開放感という点では、グランセゾンに優位性があります。
- グランセゾン:1階が2650mm、2階が2500mmが標準で、ゆとりがあります。
- グランスマート:1階・2階ともに標準天井高は2400mmです。
グランスマートでも1階の天井高を2600mmまで高くできますが、坪面積あたり2万円のオプション費用がかかります。
(2) 加湿システムとスリットスライダーの標準化
グランスマートには、快適性を向上させる設備が標準搭載されています。
- 全館加湿システム「ロスガード90 うるケア」:グランスマートでは標準仕様ですが、グランセゾンではオプション(+10万円)です。このシステムは、給水の手間なく家中を加湿し、冬季の乾燥対策を自動化します。
- スリットスライダー:フローリング上にレールがない天井吊り下げタイプの引き戸で、グランスマートでは1箇所まで標準仕様で採用できます。グランセゾンでは採用不可です。
(3) 外観デザイン:プレミアムタイルの可否
外壁タイルには、意匠性の高いオプションに違いがあります。
- グレイスタイル:2022年に新発売された大判タイルで、外観を美しく彩ります。これはグランスマートでのみオプション採用可能で、グランセゾンでは採用できません。
違い3:災害対策オプションの有無
グランスマートは、超高性能な躯体をさらに強化する災害対策オプションを豊富に用意しています。
- 耐震性(2倍耐震):グランスマートのみ、約10万円のオプションで、建築基準法の2倍の強さを備えた「2倍耐震」を採用できます。ただし、間取りの自由度が小さくなるというトレードオフが生じます。
- 耐水性(耐水害仕様):豪雨地域や大きな川が近くにある場合に検討できる「耐水害仕様」も、グランスマートのみオプションでつけられます。
結局、どちらを選ぶべきか?

グランスマートの坪単価は約85万円、グランセゾンは約80万円が目安であり、上位モデルのグランスマートの方が高くなります。
グランスマートがおすすめな人

性能とデザイン、どちらも妥協したくない方には、グランスマートが最適です。
業界トップクラスのQ値0.51という超断熱性能、全館さらぽか空調(オプション)による強力な夏季の除湿・床冷房、そして全館加湿システム「うるケア」の標準搭載など、年間を通じて最高の快適性、健康、省エネ性能を求める顧客層に最適な選択肢です。
グランセゾンがおすすめな人
間取りの自由度や、標準の天井高の開放感を重視したい方はグランセゾンも選択肢に入ります。
ただし、性能や耐震性を妥協することに抵抗がある場合は、同じ一条工務店の「アイスマート」を検討するのがおすすめです。アイスマートはグランスマートと性能は同じですが、値段は圧倒的に安いです。
筆者の判断軸
私自身は「間取りや天井高は後から慣れるが、
断熱性能と湿度環境は後から変えられない」と考え、
性能を最優先にしました。
この判断は、住み始めてからの満足度に直結しています。
まとめ

グランスマートは、i-smartの超高性能(Q値 0.51, C値 0.59)をベースに、グランセゾンのデザイン性を取り込み、さらにグレイスタイルや全館さらぽか空調の選択肢を統合した最高峰のハイブリッドモデルです。
初期費用は高くなりますが、ハイドロテクトタイル(標準仕様)によるメンテナンス費用ゼロ化や、超断熱性能による光熱費削減により、長期的なコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。
高性能住宅の購入は、単なる家の購入ではなく、「エネルギー消費効率が極めて高い資産」への戦略的な投資と見なすことができます。
最終的な判断を下す前に、ぜひタウンライフ家づくりのようなサービスを利用して、複数のハウスメーカーから無料で見積もりと間取りプランを入手し、価格交渉の材料とすることをおすすめします。これにより、大幅な値引きを獲得し、理想の家を手の届くものにできます。

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