はじめに

育休に入るタイミングで、手取りに差が出るって本当?



実は本当なんだよ。12月末から育休に入るのと、1月から入るのとで、社会保険料の免除タイミングが変わるんだ
育児休業は家族との時間を確保できる大切な制度ですが、
「ボーナスは満額もらえるの?」「給与や手取りはどれくらい変わるの?」
こうした疑問を持つ方は多いはずです。
育児休業は家族との時間を確保する大切な制度ですが、同時に家計にも直結します。
特に看護師や会社員など、毎月の給与と年2回の賞与が生活の柱になっている家庭では、社会保険料がいつ免除されるかによって手取り額が数万円単位で変わる可能性があるのです。
例えば、12月26日から育休をスタートした場合と、翌年1月4日から開始した場合。
どちらも「ボーナスは満額もらえる」ことに変わりはありませんが、給与や賞与にかかる社会保険料の免除ルールにより、実際の手取り額は異なります。
本記事では、実際の給与明細と賞与明細をベースにシミュレーションを行い、12月開始と1月開始でどのくらい差が出るのかを具体的に数字で比較しました。さらに、厚生年金保険法第83条の4などの法令に基づき、給与と賞与で免除条件がどう違うのかも整理します。
- 12月と1月のどちらで育休に入ると手取りが増えるのか
- 給与と賞与の免除条件の違い
- 実際にどれくらい「得」になるのか
これから育休に入る方、特に「ボーナス支給月にかぶる人」には知っておいて損はない内容です。
前提条件(実際の明細を基に試算)



今回は、うちの給与明細とボーナス明細をそのまま使ってシミュレーションするよ
- 支給総額:302,464円
- 控除総額:31,110円
(健康保険 13,940円/厚生年金 21,711円/雇用保険 2,550円/所得税 2,179円/住民税 8,840円) - 手取り:270,840円
月給30万円クラスの一般的な会社員・看護師モデルを想定。
- 支給総額:531,757円
- 控除総額:103,483円
(健康保険 21,771円/厚生年金 48,565円/雇用保険 3,982円/所得税 27,826円) - 手取り:428,274円
ボーナスからも社会保険料・雇用保険・所得税がしっかり控除される。住民税は賞与からは引かれない。
- 給与(毎月の報酬)
その月に 1日でも育休を取得 していれば、その月分の社会保険料が免除。
→ 月の途中開始でもOK、日割りではなく「月単位」で免除される。 - 賞与(ボーナス)
厚生年金保険法第83条の4などに基づき、以下2つを満たせば免除:- 賞与を支払った月の 末日に育休中 であること
- その育休が 1か月を超える期間 であること
→ この条件を満たした場合、賞与にかかる社会保険料(健康保険+厚生年金+雇用保険)が免除され、数万円単位で手取りが増える可能性がある。



給与と賞与で免除のルールが違うんだね。育児休業中は手取りが減るから、お得にもらいたいよね。
シミュレーション結果(12/26開始と1/4開始)



じゃあ実際にどのくらい違うの?



表にするとこうなるよ
1. 給与(毎月の報酬)
- ルール:「その月に1日でも育休を取得していれば、その月分の社会保険料は免除」
- 根拠:育児休業中保険料免除制度(健康保険法・厚生年金保険法)
👉 つまり、月の途中からでもOKで、日割りではなく月単位で全額免除されます。
2025年12月26日から育休開始
→ 12月26日〜12月31日まで育休を取っているため、12月分給与の社会保険料は免除対象。
→ 控除31,110円(健康保険+年金+雇用保険など)がゼロになり、手取りは満額302,464円。
2. 賞与(ボーナス)
- ルール:「賞与を支払った月の末日に育休をしていること、かつ育休が1か月を超えていること」
- 根拠:厚生年金保険法第83条の4
👉 つまり、支給月の末日まで育休をしていなければ免除にならないのがポイントです。
2025年12月26日から育休開始 → 2027年1月1日復帰
→ もし12月15日や20日に賞与支給があったとしても、その月末(12/31)も育休中なので免除要件を満たす。
→ さらに育休期間が1か月を超えるため、12月賞与の社会保険料(約7万円)も免除になる。



えっ、給与だけじゃなくてボーナスまで免除になるの?



そうなんだ。給与は“1日でも”で免除、賞与は“末日まで+1か月超”で免除。この違いを押さえておくのが大事なんだよ
3. 金額シミュレーション比較
項目 | 通常(免除なし) | 12/26開始(免除あり) | 差額 |
---|---|---|---|
12月給与 | 270,840円 | 302,464円 | +31,624円 |
12月賞与 | 428,274円 | 約500,000円(※免除で+約7万円) | +71,726円 |
合計 | 699,114円 | 約802,464円 | +103,350円 |
※賞与の免除は「支給月末日まで育休中+1か月超」の条件を満たす場合のみ適用
- 給与は 12/26からで12月分免除 → 約3.1万円お得
- 賞与も 12月末日まで育休なら免除 → 約7万円お得
- トータルで 10万円超の差になる可能性がある
給与と賞与の社会保険料免除条件まとめ



給与と賞与で条件が違うのね



そう。だから整理しておくとわかりやすいよ
区分 | 免除になる条件 | ポイント | 2025年12/26開始のケース |
---|---|---|---|
給与 | その月に1日でも育休を取得していれば、その月分の保険料が免除 | 月末まで取らなくてもOK。月単位で全額免除。 | 12/26〜12/31育休 → 12月給与は免除対象(約3.1万円分お得) |
賞与 | 賞与を支払った月の末日に育休をしており、かつ育休が1か月を超えている | 「末日まで」が必須条件。 | もし12月賞与があり末日も育休中なら、賞与の社会保険料約7万円も免除対象 |
結果とまとめ



なるほど、12月末から育休に入れば給与分で3万円以上お得だし、場合によってはボーナスの保険料も免除になるのね



そう。だから12月26日開始のほうが金銭的には有利になるケースが多いんだよ
12/26開始の場合
- 12月分給与の社会保険料が 月単位で免除
→ 約3.1万円プラス、手取りが満額に - 12月賞与があり、末日も育休中かつ育休が1か月超の場合
→ 約7万円プラスの可能性 - 合計で 10万円超お得 になるケースもあり
1/4開始の場合
- 12月はフル勤務扱い → 社会保険料を通常通り負担
- 賞与の免除条件(末日+1か月超)も満たしにくい
- 結果として 総合的に不利 になりやすい
ポイントと結論
- 給与:1日でも育休を取れば、その月はまるごと免除
- 賞与:末日まで育休+1か月超が必須
- トータルで見ても、12月から育休に入るほうが有利
この2点を押さえるだけで、開始日の判断がブレません。



育休は家族にとって大切な時間。賢く制度を利用して、家計の負担を少しでも減らしていきましょう。
- 社会保険料免除は会社の申請が必要 → 必ず人事・総務に確認を
- 育休給付金は直近6か月の平均賃金で算定 → 勤務日数の違いでわずかに差が出る可能性あり
- 住民税は前年所得に基づき課税されるため、育休開始月に関わらず支払いが発生
よくある質問
- 月の途中から育休に入っても、その月の保険料は本当に全額免除になりますか?
-
はい、給与については「その月に1日でも育休を取得」していれば月全体が免除になります。
同月内で開始・終了し月末を含まない場合は、取得期間が14日以上必要になるケースがあります。今回のシミュレーション(12/26〜12/31)は末日を含むためこの条件は不要です。
- 賞与の免除の「1か月超」はどうカウントしますか?
-
賞与支給月の末日を含む連続期間で1か月を超える必要があります。開始・終了日を含め、実際のカレンダー日数で判断します。
- 12月に賞与がない場合は、免除のメリットはなくなりますか?
-
賞与がなければ賞与分の免除は発生しませんが、給与の免除(12月分)は有効です。支給月が1月なら、1月末も育休中かつ1か月超を満たせば1月賞与が免除になります。
- 在籍要件があると聞きました。育休中でも賞与はもらえますか?
-
会社の規程次第です。「支給日に在籍」が条件のことが多いです。就業規則・賞与規程を必ず確認してください。
- 育休給付金に影響はありますか?
-
給付金は直近6か月の賃金平均で算定されます。勤務日数や残業の有無で平均が変わる可能性があります。人事・ハローワークで見込み額の確認をおすすめします。
コメント